設立趣意書

 
脳神経変性疾患研究会     代表世話人 

新横浜フォレストクリニック 院長中坂義邦


近年、我が国において、高齢者数の増加に伴い、以前は稀少であったはずの神経難病を含む非定型の脳神経変性疾患が増加しています。

具体的には、レビー小体型認知症(DLB)、進行性核上性麻痺(PSP)、皮質基底核変性症(CBD)、嗜銀顆粒性認知症(AGD)などで、それは2007年のブレインバンクによる病理統計でも示されており、臨床の実状をみるかぎり、現在はこれらの非定型疾患の比率がさらに増加していると推定されます。

アルツハイマー型認知症(AD)にこれらの非定型疾患が病理的に混在する症例も実際は数多くみられます。

このような非定型の脳神経変性疾患は、認知症、パーキンソニズム、行動異常などで発症する事が多く、安易にアルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体型認知症などとステレオタイプ、操作的な診断がされて、ガイドラインで決められた用法用量の薬剤処方がされて、病状が著しく悪化してしまう症例が多いようです。

従来のアルツハイマー病、パーキンソン病治療薬の用量で有害事象が現れやすい事例が増加しており、臨床医はこれまで以上に多疾患の混合、疾患の多様性などを強く意識しながら、個別の症例に柔軟に対応する事が求められます。

今後20~30年は、さらなる超高齢者の増加とともに、心不全、腎不全などのため薬物治療が困難な症例が増加します。薬物治療の限界という時代の到来が予想され、サプリメントの必要性が増してくるものと思われます。

近年、定着してきたエビデンス至上主義が、病状の数値化・定量化・客観的評価が困難である脳神経変性疾患の分野にまで適用された事によって、個々の症例の多様性が度外視され、臨床の柔軟性が失われつつあるという危機的状況にあります。

この研究会では、脳神経変性疾患の診断、薬物、サプリメントなどに関する様々なテーマについて討論したり、皆さんが持ち寄った症例を検討したり、意見交換する事によって、様々な臨床医の意見を反映して、脳神経変性疾患に対してよりよい診断、治療を模索していく事が目的です。

精神科、脳神経内科、脳神経外科、あるいは、脳神経変性疾患に関心のある臨床医の先生方、看護師、薬剤師の方々の 参加をお待ちしています。

                                                                                                          平成30年4月1日

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